Corcovado は、甘美なメロディと軽快なリズムが織りなすブラジル音楽の傑作
ボサノヴァというジャンルを語る上で欠かせない曲の一つ、「Corcovado」は、1960年代に世界中に広まり、多くのアーティストによってカバーされてきました。その魅力は、甘美なメロディと軽快なリズム、そしてブラジルの風景を思わせるエキゾチックな雰囲気が絶妙に調和していることにあります。
「Corcovado」の作曲者はアントニオ・カルロス・ジョビンで、作詞はヴィニシウス・デ・モライスが担当しました。この二人のコンビは、ボサノヴァ黄金期の代表的な音楽家として知られています。ジョビンの音楽は、彼の故郷であるブラジルの風景や文化を深く反映しており、「Corcovado」もまた、リオデジャネイロの象徴的な山であるコルコバード山の雄大な景色をイメージさせます。
作曲者:アントニオ・カルロス・ジョビン
アントニオ・カルロス・ジョビン (1930-1969) は、ブラジルの作曲家、ピアニストです。彼の音楽は、ボサノヴァの枠にとらわれず、クラシック音楽やジャズにも影響を受けた独特なスタイルで知られています。ジョビンの代表作には、「Garota de Ipanema (The Girl from Ipanema)」 「Desafinado」 「Chega de Saudade」などがあり、世界中の多くのアーティストにカバーされています。
ジョビンは幼い頃から音楽に親しみ、16歳でピアノの演奏を始めました。その後、リオデジャネイロ音楽院で音楽理論を学び、作曲家としての才能を開花させます。1950年代後半には、ヴィニシウス・デ・モライスと出会い、ボサノヴァの黄金期を築き上げました。
ジョビンの音楽は、その美しいメロディと洗練されたハーモニーで高く評価されています。彼の作品は、ブラジル音楽の伝統的な要素と現代音楽のエッセンスを融合させたものであり、世界中の多くの人々に愛されています。
作詞者:ヴィニシウス・デ・モライス
ヴィニシウス・デ・モライス (1913-1980) は、ブラジルの詩人、作詞家、外交官です。彼はジョビンと同様に、ボサノヴァの黄金期を築いた重要な人物の一人です。モライスの作詞は、彼の故郷であるブラジルの自然や文化、そして人々の生活を鮮やかに描き出しています。
モライスの代表作には、「Garota de Ipanema」 「Corcovado」 「Chega de Saudade」などのボサノヴァの歌詞だけでなく、「Orfeu Negro (Black Orpheus)」という映画の脚本も有名です。この映画は、ブラジルの文化を世界に紹介する役割を果たし、モライスの才能が広く認められるきっかけとなりました。
「Corcovado」の音楽分析
「Corcovado」のメロディは、シンプルながらも美しく、心に響くものです。軽快なリズムと相まって、聴く者をブラジルの陽気な雰囲気に誘います。特に、サビ部分のメロディラインは、印象的で記憶に残ります。
楽曲の構成は、A-B-A’ の典型的なボサノヴァ形式で書かれています。
- A部:イントロから最初の歌詞が始まるまでの部分を指し、曲全体の基調となるメロディーが登場します。
- B部:A部に比べてテンポが少し遅くなり、感情をより深く表現する部分です。
- A’部:再びA部のメロディに戻り、楽曲がクライマックスを迎えます。
「Corcovado」は、多くのアーティストによってカバーされていますが、特にスタン・ゲッツとジョアン・ギルバートによるバージョンが有名です。「Getz/Gilberto」というアルバムに収録され、グラミー賞にも輝きました。このバージョンでは、ジョビンの作曲とモライスの歌詞が、ジャズの要素を取り入れたアレンジを通して、より深く聴く人に響いています。
「Corcovado」を聴く上でのポイント
「Corcovado」は、シンプルながらも美しいメロディと軽快なリズムが魅力の曲です。
- 曲全体の雰囲気を楽しむ
- 特にサビ部分のメロディーラインに注目する
- ジャズの要素を取り入れたスタン・ゲッツ & ジョアン・ギルバートバージョンも聴き比べてみる
「Corcovado」は、ボサノヴァの素晴らしさを教えてくれる素晴らしい楽曲です。ぜひ一度、じっくりと聴いてみてください。